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孤独なタクシー・ドライバーの妄想と暴走
公開当時はベトナム戦争の影響が社会に暗い影を落としていたから、この青年トラヴィスも、戦争後遺症を患った一人とみられていただろう。しかし、今まさにこんな青年がそこかしこに存在している。孤独感から妄想の世界にはまりこみ、周囲の人を巻き込み、あるいは困惑に陥れながら暴走してゆく。そんなトラヴィスに狂気を感じながら、どこか深いところで共感している自分に気づいて愕然とするのだ。
トラヴィスを演じるのは若き日のロバート・デ・ニーロ。この演技がすばらしい。タクシー・ドライバーになりきるために本当にタクシー運転手の免許を取り、イエローキャブでニューヨーク市街を走り回ったという。映画は夜のニューヨークをタクシーで流すシーンから始まる。トラヴィスがタクシーで流しているとき、自分もともにトラヴィスとこの居場所のない大都会を放浪している気分になる。彼女をポルノ映画に連れて行ったり、腕に銃を仕込んだり、売春宿を襲撃したりと、トラヴィスのやることはすべてが常軌を逸しているが、そこに言葉にならない孤独な青年の叫びを感じさせる。
12歳の売春婦アイリスを演じるジョディ・フォスターも、出番は少ないが天才的な演技を見せる。カメラワーク、音楽もすばらしく、低予算映画とは思えない味わい。主人公はヘンだし、展開も気だるく、わけがわからない感じなのに、何回も観たくなってしまうという希有な一本である。
何年前でも傑作
BSとか見ていたら、ゴットファーザーやっていて、思わず最後まで見てしまい、何となくデニーロの若い頃の映画を…と。
私は見たことがあると思っていたのだが、何かの勘違いで初めて見る映画のようだ。
あとジョディ・フォスターが出ているという記憶もあったのだが、どこに出ているのか気づかずに、後で調べて12歳の娼婦役の子だとわかり、びっくりした。
しかしデ・ニーロはかっこいいというか、ハリウッドもこの様な映画ばっかり作っていたら、また面白かったのではないのだろうか。あまりにもリアルで空想と現実の境がなく、この映画が原因で大統領の暗殺未遂まで起こったというのだから、映画の持つ力はすごい。しかし脚本だけではなく、演じたデ・ニーロの演技力がそのような催眠作用があったのだと思う。
「このままでは終わる人間ではない」という「根拠のない自信」「葛藤」「あせり」が、ついにデートまで引っ張り出せた理想の女性との初映画にポルノを選んでしまうちぐはぐさなどは、何かもう自分の事のように思い込んでしまう。
どうしようもない自分の衝動を満たすために、体を鍛え、拳銃の早内の練習をするシーンなどは、アメリカならでは。日本では拳銃なんて考えられないもんなぁ。
で、政治家を狙って失敗、その足で12歳の娼婦を救うというなんか「何でも良いから、何かしたいんだ〜」という動きになり、その娼婦の組織を拳銃で皆撃ち殺して、突然ヒーローになってしまう。で、最初にポルノに連れて行ってふられた女性との再会…。
もっと私が若いときにしっかり見ていたら、また変わった見方が出来て、自分の人生にも少し影響があったかもしれないと思える映画だった。
この作品に共感できる人は・・・同じ精神状態を経験した人じゃないとわからない
正直に書きますと、私はうつ病を患っています。
そして、うつ病前後に、この映画を見たとき、
本当にトラヴィスの精神状態が分かった気がしました。
この映画を理解できる人は、それくらい、精神状態が追い詰められたか、
病んでいるか・・・
そうでなければわからないと思います。
ですが、ここまで高評価を得ている作品である以上、
やっぱり、そういう経験をしている人が世界中にいる、ということの証でもあると思います。
嫌な世の中です。
本当に、トラビスのセリフ、行動に共感します。
「この掃き溜めのような街を洗い流してくれる雨はいつ降るんだ」
まさにそう思う自分もいて、
まんまトラヴィスと自分を重ねてしまいます。
最後の一線だけは越えませんが(笑)
きちんと通院して治療してますので(笑)
しかし、最後は皮肉ですね。
アリスを救うための行動が、一夜にして彼は「ヒーロー」として祭り上げられる。
作品は待ったく別ですが、「アメリカン・サイコ」にも似た構造がここで既に映像化されていたんですね。
文句なしの傑作です。
この映画で何も感じない人は、ある意味、幸せな人なんだと思います。
今から33年前に千日前国際劇場で観た時と、今回DVDで観たのとでは、印象が余りにも違うので驚いた
Road Show、VHS、WOWOWと都合4度目の鑑賞となるが、1回目と4回目とでこんなに印象の変わった作品も珍しい。
劇場で観た時は、あのMohican頭と安Hotel襲撃Sceneばかりが印象に残ったのだが、今回は襲撃に至るまでのトラヴィスの生き方とそのトラヴィスを演ずるデ・ニーロのカッコ良さが強烈だ。
確かに「エンゼル・ハート」や「ケープ・フィアー」「ヒート」のデ・ニーロも私的には抜群にカッコ良いんだが、この作品の世捨て人のようでPureなトラヴィスはピカイチだ。
特にLastでシビル・シェパードに対し、何の未練も無く、Taxi料金すら受け取らないで「じゃあ」と言って走り去るSceneは最高!
撮影当時33歳なんだが、もっと若く見えるのに、既に役者としての貫禄も感じられる。
「ミーン・ストリート」で同じチンピラ役を演じていたハーヴェイ・カイテルとはこの時点で物凄い差が出来ているが、結局その差は未だ縮まらずだな。
作品云々については今更語っても、このReviewをご覧になる方は『そんなもん、知っとるわい』でしょうから、 多くは語りません。
私が言いたいのは、
トラヴィスの『孤独感』と今、日本の社会で問題になっている(通り魔殺人などの事件を起こす)孤独な人間達とは別物だという事。
トラヴィスはその気になれば人間関係を築く事が可能な人間である。
それを示すEpisodeがベッツィやアイリスとの関係だ。
Communicationが全く欠乏しているわけではないのである。
唯、それが表面的なものだけであり、心の底から他人と繋がっているかというとそうではないのである。
社会問題になっている本当に孤独な人間達は表面的な人間関係すら構築できないので、孤独感に追い詰められて事件を起こしてしまう。
なんで、トラヴィスのとった行動は決して孤独感に苛まれて行なった暴挙ではなく、理性を伴った社会の清浄化の1つだと思う。
動機のない「狼よさらば」だね。
Tom ScottのSaxは何時聴いても素晴らしい。中学時代はSingle Recordを買って聴きまくったが、今回はとうとうSoundtrack Albumを買っちゃったよ。
美しいラスト・・・
ラストの展開について、唐突過ぎる意見も各所に見られるが、
胡蝶之夢を体現したラストであろう。
夢が蝶か 蝶が夢か
現実とイメージの境界線 その合間にある移ろいゆく精神と都会を重ね合わせた
あのラストだからこそ孤独から狂気へと駆り立てられた男の物語という題材を超えて
普遍性を兼ねそなえていったのだ
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